フォトンベルトって何?

半田市在住の自動車ディーラーのおじさんと仲良くなった。なかなかエネルギッシュな方である。

ある日質問を受けた。「野々部さん技術者だろ、フォトンベルトって知ってるかい?」私は知らなかったので「知らない」と答えた。

そのおじさんの話によれば、「宇宙の銀河系にある、高エネルギーのドーナツ状帯」のことであった。地球がもうすぐその領域へ突入すること。異常気象や温暖化などの環境破壊は、このフォトンベルトに今地球が近づいていることが原因とのこと。大不況も引き起こしているとの話だった。

何だか変だと思った私は、自宅で国立天文台のHPを見た。「フォトンベルトなるものは存在しません」ときっぱり書いてあった。
http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0906.html

国立天文台といえば、日本天文学の最高権威であり、理科年表を発行していることでも知られている。よってこのことは、まず間違いない。

後日、そのことをおじさんに伝えたら、がっかりした顔になった。

「しまった!」と思った。技術者の悪いクセが出た。そのおじさんも含め、信じていらっしゃる方々はそうやって空想を楽しんでいたのだ。その説そのものはいかがわしい内容だったかもしれないが、別に誰かに危害を加えたわけではない。それをきっぱりと否定することはなかったのだ。

だからと言って、私もいっしょになってこのいかがわしい説に同調して喜んでいたら、いつか技術者としての見識を疑われる日が来るかもしれない。このおじさんは、技術者である自分に何を期待して質問をしたのだろう。

さらに後日、おじさんから一冊の本をいただいた。「フォトンベルト日月神示、岡田光興著」SF小説は嫌いではないが、すさまじい内容のことが書いてあり、自分の体質には合わない。でもこのおじさん、本をくれたということは、私のことを嫌いになったわけではないようである。ホッとした。