防災訓練の思い出

以前地元の小さな小学校のPTA会長をやっていた頃の話である。

その年、大々的に防災訓練をすることになった。その一つとして、逃げ遅れた人を校舎の屋上からヘリで救出するという企画が出てきた。問題は、誰をその役にするのかということであったが、学校の先生方は皆いやがってのかも知れないが、その役をPTA会長の野々部さんにしましょうということに(私の居ない時に)決まった(>_<)。

後でその話を聞いて、私はびっくりした。何で自分が? よくわからなかったが、とにかく引き受けた。まあ何とかなるだろうと思っていた。

その当日になって、児童や職員そして保護者らが見守る中、救出される場面となった。校舎の屋上に一人で立ち、ヘリを待っていた。そして、すごい音とすごい風と共に、ヘリがやって来た。急に恐怖心が湧いてきた。縄ばしごが下ろされ、それをつたって救急隊員が一人降りてきた。もともと気が小さい私はその救急隊員にしがみつくのが精いっぱいで、目をつぶって必死に恐怖心と闘っていた。やがて無事にヘリの室内にたどりつた。ヘリの窓から見た校舎とその周辺の風景は、見晴らしが良く、最高であった。

とにかく得難い経験をさせてもらったと言うのが正直な感想で、もちろんいつまでたっても忘れられない。その企画のリーダー格であった女性教師は、他の小学校へ転勤され教頭となり、防災教育の第一人者としてますます活躍されているとのことである。