世界は環境問題をどう見ているか(42)

Key points of the landmark Paris climate agreement
大きな成果を上げた気候に関するパリ協定のキーポイント

今回紹介するのは、パリで開催されたあのCOP21のキーポイントです。出典は米国yahooです。そして今回は本文を要約することなく、全文を掲載します。いずれも重要な文章なので、省略したくないです。このCOP21、今や世界の会議の中で最も重大なイベントと言えるかも知れません。

https://www.yahoo.com/tech/key-points-paris-climate-agreement-202040749.html

2015.12.13


<本文>
ラ・ボーゲット、フランス(AP通信) —国連気候会議は土曜日に一つのマイルストーンに到達した、190以上の国が地球温暖化に取り組むことの協定に合意したのはこれが初めてのことである。

ここにその協定の主要事項を記す。

—長期的な狙い:合意の最終目的は、地球温暖化を2℃を“十分に下回る”とし、さらに1.5℃へ向けて“努力し続ける”とすることを確認した。温度は産業革命以前より既に1℃程度上昇している。その目標を達成するために、政府らは温室効果ガスの排出を“極力抑える”よう約束する。そして2050年以降のいくつかの時点までに、人為的に発生する排出量を森林や海が吸収できるレベルまで削減するようにすることも合意の中でうたわれている。

—排出目標:長期的な狙いを達成するため、国々はその温室効果ガス排出削減の目標を5年ごとに定める。180を超える国が2020年までの最初のサイクルについての目標を既に提出している。先進国だけには絶対的に排出量の大幅な削減を望む、そして開発途上国には時が経つごとに進化するような将来性を期待して同様な取り組みを奨励する。それまでに、それらの国々には経済成長による排出量の増大を抑えることが望ましい。

—再検討すべき目標:初期の目標は、長期的に見て世界の温度を狙いの数値に導こうとするには、不十分である。よってこの合意は各政府に次の4年間で、更新できるなら再検討し確認するよう求める。そしてそれはその削減をより厳しくすることを要求するものではない。しかし再生可能エネルギーの効率が向上してより利用しやすくなるようなら、出来ることならそうすることが望まれる。

—透明性:この排出目標を達成できないことに対するペナルティは無い。しかしこの合意には透明性ルールがあり、それによってその国が取り組むと宣言したことを実際に実行するよう促すことにつながる。それは開発途上国向けの寛大な要求事項を求めている中国にとっては、最も合意するのが難しい事項であった。またその合意では、全ての国に対し排出量とそれを削減するための努力のレポート公表を義務づけている。だがそれには柔軟性もあり、その必要性のある開発途上国には弾力的な運用を認める。

—資金:合意には、裕福な国は貧困国に対し経済的な支援を実施し続けることにより、その貧困国の排出量削減や気候変動への対応を援助することが記されている。それは、(裕福な国だけでなく)他の国に対しても無償で支援を分担することを促している。それは、例えそうすることをそれらの国に要求しないとしても、中国のような新興経済大国が貢献するための道を開くものである。実際にはその金額は合意そのものとは別なのだが、裕福な国は2020年まで毎年1000億ドルを気候資金へ出資することを公約した。

—損失とダメージ:海面上昇に脅かされている小さな島々から成る国々が勝ち取ったのは、気候変動による災害に関わる“損失とダメージ”を認識するという部分を合意文書に盛り込んだことである。米国はこの事項を合意文書に盛り込むことに長い間反対していたが、それは大きな気候変化により生じた災害の補償を要求されることを懸念していたためであった。最終的にはこの事項も盛り込まれ損失とダメージについて補足事項として明確に記載されたが、その責任や補償は含まないことになった。

<コメント紹介>
 コメントは全部で52件でした。5件紹介します。
「言い方を変えれば、実質的には何もないけど空約束はしたということだね。これはまさにオバマ政権と同じようなものだね。」
「ヨーロッパはほとんど崩壊するよ、米国は年間赤字だし。どこから資金を調達するの?」
「どうやったら横柄な国や人々がその気になって自分たち自身で気候を変えていこうと取り組むのか、ほとんどイメージできないよ。実際には、こんなことは全ては金で解決するしかない。だからアル・ゴアは正しい。」
「キーポイントは‥‥‥。中国は何もしない。米国はドツボにはまる。インドはそんな我々をあざ笑う。ヨーロッパは米国に金を払ってほしいと言う。そして金が無駄に浪費されていく。ということだね。で、気候はどうなるんだろうね。」
「彼らは多くのポイントのうち一つだけ除外しているね。お金のことだよ。なぜならそれが問題の全てとも言うべきものだからね。」

<解説>
 いかがでしょうか。簡単に言えば、“全ての国が2020年以降の温室効果ガスの削減目標を作り、それを5年ごとに見直すことを義務づけた”ということです。こういった協定を米中欧含む190ヶ国に取り付けたということは、大きな進歩と言えるでしょう。
 しかしコメントを見ると、楽観者は少ないようです。金銭的な課題が大きいことを、皆心配しているようです。そして米国にとっては、中国やインドなど実力をつけてきた新興国の存在が気になるようです。それらの国を意識したコメントもあります。でも日本について書かれたコメントはありませんでした。
 日本の目標は“2030年までに2013年比でCO2排出量26%削減”です。かなり厳しいです。再生可能エネルギーのさらなる普及、省エネの促進、でもそれだけではどうにもならないでしょう。原発再稼働を増やすこと不可欠となりますが、それは慎重に進めなければならないでしょう。