世界は環境問題をどう見ているか(4)

今回は英国Yahooの記事を紹介します。
エネルギー源確保の事情は、国によって随分違います。日本や英国のような島国では石油や石炭をタンカーで輸入するしかないですが、大陸国家ではパイプライン敷設という手段が主流になっている場合もあります。米国では数年前にシェールガスが新しいエネルギー源として注目されましたが、最近ではさらに“シェールオイル”も見出されました。いずれもパイプライン輸送が可能であることから期待が大きいですが、一方で環境への影響もあらゆる角度から検討され反対する団体も多いようです。今回は需要と供給という経済的側面から踏み込んだ記事を紹介します。

https://uk.news.yahoo.com/canada-us-pipeline-may-spark-more-emissions-expected-175212198.html#IcrIcPy


Canada-US pipeline may spark more emissions than expected
カナダー米国間のパイプラインは想像以上の(環境負荷ガスの)放出を引き起こす。

<本文要約>
カナダから米国へのパイプライン敷設が提案されているが、これは当初試算された温室効果ガス放出量を大幅に上回ると見られている。それはより多くの生産とより安価な価格に起因する石油消費量増大を引き起こすと見られるからである。
ストックホルム環境研究所の研究者らは、米国政府による試算とは異なり産出による消費増大を考慮に入れている。チームが試算したのはパイプラインが1億から1億1千万t/年の二酸化炭素温室効果ガスを生じることになる。これは省庁が試算した2740万tの4倍である。
米国オバマ大統領が言うには、パイプラインを承認できるのは、カーボン汚染の問題がそれほどひどくない場合のみということである。しかし今回その調査チームが言うには、増大した生産量のバレルごとに、世界的にオイルの価格が付加的に下がるおかげで世界のオイル消費は0.6バレルずつ増加する。言い換えれば、より多くの温室効果ガスである二酸化炭素を排出するということであり、2013年は360億tと推定される。
つまり米国政府の調査ではパイプラインの潜在的温室効果ガスの影響の大きさが見落とされており、供給の増大と価格の下落はオイルの消費の増大を引き起こすということである。

<コメント紹介>
これについては、コメントは2件だけでした。二つとも紹介します。

「くだらない話だ。彼らは地球温暖化対策に見せかけて、その税金を増やそうとしているのではないか。パイプラインを使わなければ車やタンカーで運ぶことになり、(その輸送に使う燃料で)さらにCO2放出が増えるだろうが。」

「うーん、このような予測は誰でもできるものではないと思う。そしてこのような供給の増大とそれに伴う価格下落は、こんなことを引き起こすのか。ロシアへ言ってやりたいね、価格は税金によってコントロールできるんだと。」

<解説>
キーストーンXLパイプラインのプロジェクトは、米国のエネルギー問題としては最もHotな話題であると言ってよいでしょう。島国の日本から見ると羨ましいですが、パイプラインにはパイプライン特有の問題もあるんですね。環境影響としては、このシェールオイルは通常の原油より砂粒を多く含むためパイプ内部が削れやすく漏洩のおそれが高いということ、そしてそれがパイプライン沿線の自然を破壊する可能性を秘めていることも問題視されています。
http://matome.naver.jp/odai/2139934533016484701?page=2

オバマ大統領は、まだこのパイプラインプロジェクト着手を承認していないようです。いつ承認されるか、全米が注目しています。

 カナダや米国の出来事ですが、恐らく他国への影響もいろいろな形で発生すると思われます。そんなわけで英国Yahooでも紹介されたのだと思いますが、日本にも影響が無いとは思えません。今後も注視していきたいです。