世界は環境問題をどう見ているか(5)

出典は米国Yahooですが、南米の話題です。ブラジルのサンパウロ市は人口1千万を超える南米最大都市です。
日本では集中豪雨が各所で問題になっていますが、地球の裏側のブラジルでは、水不足が深刻のようです。

http://news.yahoo.com/water-crisis-threatens-thirsty-sao-paulo-211345151.html;_ylt=AwrTWfwOPPdTRVQAnB7QtDMD


2014.8.21
Sao Paulo (AFP) - Sao Paulo is thirsty.
サンパウロ渇水状態である。
<本文要約>
深刻な渇水がブラジル最大都市サンパウロを襲っている、100万市民へ供給する市の上水道も深刻な状況であり、いつまで続くか見当もつかない。大都市圏2000万人に水を供給しているCantareira貯水池の水位は低く、過去45年間で最低である。他の貯水池も厳しい状況である。さらに乾季が続くことも予報されている。
しかしGeraldo Alckmin政府は水の配給なしにこの危機を脱しようとしている。また州の水道会社Sabesp社は、他のダムから水を移送し必要なら非常用貯水池を使うことにし、ユーザーには水使用量を減らすよう要請している。
この状況に対応するため、貯水池の底の方の水を使い始めたが、それは水質上問題があり健康上のリスクがあると言われている。そして渇水はブラジルの主力水力発電所も直撃し電力供給にも影響を与えている。
「この状況は水と電気いずれにとっても危機的だ。人々がこれまで以上の節水をするのが望ましいのだが。」と独立エネルギー供給社ComercのCristopher Vlavianosは述べている。
サンパウロカトリック大学の地理学者Paulo Roberto氏は「渇水が続けば何が起こるかわからないが、恐らく破滅へ向かうしかない。」と述べた。


<コメント紹介>
今回もいくつかのコメントを紹介します。率直な感想を書き込んでいる人も居ますが、ブラジル人を見下したような言い方をしている人も居ます。米国人の南米人に対する感覚ってこんなものなのでしょうか。でも最後のコメンターはそれらに対し強く反論されています。

「今彼らは、熱帯雨林の伐採が何を引き起こしたかを、今目の当たりにしているんだ。さあ水はなくなったぞ!」
「母なる自然をバカにすることは出来ない。」
「政府が正当な方法で渇水に対処すれば、良いでしょう。」
「皆が水洗トイレを使っているとしたら、それがいかにまずいことか考えなきゃね。」
「ワールドカップの全てのサッカープレーヤーは脱水症状にならないように水を飲み続けていたけど、それって良かったの?」
「愚かなローマ教皇は、何故カトリックの神が人々の繁殖計画を救済しなかったのか。この愚かなキリスト教徒の分家は、イスウム教徒より愚かだ。」
「米国西海岸では、こんな渇水問題を最小限に抑える方針は既に固まっている。ブラジルでは市の当局者は納税者からの取立てのため多忙だったみたいだ、しかも納税者らは最近まで事態に気づいていなかった。」
「何か変わったことでも?ブラジル人どもは無能で腐りきっているよ。いつものことだけどね。」
サンパウロ渇水はとても恐ろしい。あと3ヶ月十分な雨が降らなければこの大都市は立ち行かなくなりパニックになるだろう。ブラジルのバカな市当局者が人々やビジネスを危機に落し入れたのだ。」
「米国のカリフォルニアや南西部の砂漠を見てごらん。渇水に備えて長期間対応できるよう準備ができているよ。」
「私はサンパウロに5年間住み、素敵な人ばかりだった。ブラジル人たちは皆おおらかで愛すべき人々で、また会いに行きたい。前のコメントで“市の当局者は納税者からの取立てのため多忙だ”と書いた方、それはどこから得た情報なのか知りたいわ。あなたがたはそこに住んだことがあるの?そこに友人が居るの?誰が“ブラジル人はいつも無能で腐りきっている”と言ったの?私はこの状況に苦しんでいる人たちのために祈りを捧げます。」

<解説>
毎年夏を迎えると、渇水は日本でも各地で問題になることがあります。主な対策は節水の呼びかけと給水制限ですが、このあたりの事情はブラジルも同じのようです。新たな水源確保も重要ですが、湖沼や河川の水に頼るのも限界があります。
そこで日本では下水処理水の再利用も少しずつ採用されはじめています。最近では“MBR(膜分離活性汚泥法)”に代表されるような下水の高度処理技術が進歩し、下水の再利用が本格的に拡がり始めました。そうは言っても、まだ日本の下水の再利用率は2%程度のようです。
国外に目を向けると、シンガポールMBRを用いた下水再利用の大きなプロジェクトが勧められています。“下水二次処理水回収(ニューウォーター)プロジェクト”と呼ばれ、何とシンガポール水需要の30%をこのニューウォーターで賄うという壮大な計画で、日本の有力企業が主体になって進めています。実際にはMBRの後工程で逆浸透膜による高度なろ過処理やUV(紫外線)殺菌も行うようですが。
このプロジェクトをさらに横展開して、ブラジルのサンパウロをはじめ世界の水不足に悩む国や地域にも応用できないものでしょうか。世界の水問題解決はもちろんですが、日本の水処理技術の優秀性を世界にアピールすることにもなります。