世界は環境問題をどう見ているか(14)

今回は、太陽光発電の話題です。発信元は“The Guardian”と言う英国の大手新聞社のサイトです。太陽光発電風力発電再生可能エネルギーと呼ばれ、環境先進国の多い欧州で多く導入されています。英国とドイツの話題です。

http://www.theguardian.com/environment/2014/jun/23/uk-and-germany-break-solar-power-records

2014.6.23

UK and Germany break solar power records
英国とドイツ、太陽光発電の記録を塗り替える


<本文要約>
最近の工業会の統計によれば、ここ数週間で英国とドイツは太陽光発電量の記録を塗り替えたそうでる。6月9日にはドイツでは、太陽光による発電量がその国の全発電量の半分以上となった。そして英国では夏至の日の天気が大変良かったため、その日の発電出力が2013年のピーク日の2倍にも達した。
フランス、イタリア、デンマークその他の国でも6月の発電量は記録更新したと推察できる。
欧州太陽光発電工業協会(Epia)によれば、ヨーロッパはPVの容量10.9GWを加え、大陸にて設置されている太陽光発電の全容量は81GWを超えた。
しかしワシントンDCにあるアースポリシー研究所(EPI)によれば、欧州はすでに太陽光発電の最大のマーケットではないとのことである。
2013年のEPIのレポートによれば、中国は少なくとも11.3GW増えてドイツに次いで世界第2位の太陽光発電大国になったとのことであり、米国は4.8GW増えて12GWとなったとのことである。さらには、カナダは2013年に440Mw増えて1.2GW、メキシコは2倍近く増えて240MWと推察される。
日本はと言えば福島などの原発停止の反動で大幅に増え、2013年には6.9GWに達した。欧州太陽光発電工業のレポートによれば、太陽光発電は今後数年間は毎年20%程度ずつは拡大すると予測される。


<コメント紹介>
コメントは365件ありました。いくつか紹介します。太陽光発電に対し期待を抱くコメントもあれば、悲観的なコメントもあります。

「昨日は夏至で、我が家の屋根の太陽光発電は出力最大のはずだったんだ。でも、その装置を水洗いしたりして使用できるようにするまでにかなり時間を費やしたんだ。冷蔵庫はピーク時も何とか稼働できたんだけどね。」

「米国の太陽光発電設置は、これからの数年間できっと最大の再生可能エネルギー施設になるわね。気づいている人は少ないようだけど、これから本当にブームになるんじゃないかしら」

太陽光発電は、サンベルト(米国南部の温暖地帯)では特に有望だよ。
太陽光は英国やドイツの2倍くらい強い、大きな家が多くその屋根も大きいし、空調には多くの電力を必要とする。
電力はとても安いので、十分なユーテリティを得るのはそれほど難しくないよ。」

「でも実際の話は‥‥。
夜は太陽光発電の出力は0%だし、それが毎晩ずーっと続くんだよ。」

「固定価格買取制度はドイツより英国の方が条件が良いのに、何故ドイツは英国の2倍以上設置されているんだろう。自分にはよくわからない。」
「ドイツは英国より資金が豊富だ、それは貿易収支の黒字分をみても判る。資本家たちはそのくらいのことは知っているだろう。」

太陽光発電は私が必要としている電力の130%も供給してくれるよ。
信じない人には、その証明となる証拠が必要なんだろうね。太陽が出ていない時にどうすればいいかということも説明しないとね。」


<解説>
いかがでしょうか。
本文には日本の状況の説明も少しありましたが、コメントはありません。365件のコメント全て確認しましたが、日本のことには誰も言及していませんでした。欧州に人たちは、日本の状況にはそれほど関心がないんでしょうか。

再生可能エネルギー特別措置法ってご存知の方も多いと思います。2011年8月に菅直人総理大臣が退陣前に成立させた法律で、要するに太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電力を一定期間固定価格で買い取ることを事業者に義務付けたものです。固定価格買取制度(FIT)とも呼ばれています。この制度が出来たおかげで、日本の太陽光発電設置数も大幅に伸びました。また国内のほとんどの原発が停止したことも、太陽光発電普及の要因になっているようです。
しかし私が思うに、この制度の有効性についてはまだ予断を許しません。固定価格で買取り続けた電力会社が、その増分を一般への電気料金に上乗せすることもあり得ます。すると電力会社の顧客であるはずの一般消費者に負担がのしかかります。

英国やドイツではどうなんでしょうか。この本文を読む限り太陽光発電は勢いよく普及をしているようですが、制度上の問題はないのでしょうか。問題があったとしたら、その問題をどのようにクリアしたのでしょうか。日本が学ぶべきことは結構多いように思います。