世界は環境問題をどう見ているか(16)

このシリーズの(10)で北極グマのことを紹介しましたが、今回はそのエサとなるワモンアザラシの話題です。絶滅危惧種の話ですが、今回もやはり地球温暖化問題がクローズアップされています。出典は米国Yahooです。

http://news.yahoo.com/agency-proposes-critical-habitat-ringed-seals-213229576.html

2014.12.2

Agency proposes critical habitat for ringed seals
機構はワモンアザラシの絶滅危惧地域指定を要請する


<本文要約>
この写真は米国海洋大気庁(NOAA)から入手したもので、ワモンアザラシである。連邦政府の機構はアラスカの北側と西側の海域350,000平方マイル(約90万km2)を、北極グマの餌となるアザラシの絶滅危機のある生息地として指定することを要請した。
絶滅危惧地域の指定は、その水域での活動(例えばチュクチ海での石油採掘のためのボーリング)の許可を発行するのが連邦政府の機関ということであり、ワモンアザラシへの影響の有無をNOAA漁業局と協議しなければならなくなる。米国上院議員リサ・モコウスキー女史はそれを「テキサス州の面積より広い範囲の水域を制限範囲にするという前代未聞の試み」と呼んだ。
ワモンアザラシは強力な爪を使って呼吸するための穴を氷に掘って生息する。しばしば腹を空かせた北極グマに捕まって食べられてしまう。しかし北極グマより脅威となるのは海氷が少なくなってしまうことで、北極グマに晒され易くなる。
その地域を指定するだけでは、海氷の減少を止められない。彼女はオバマ政権に、ワモンアザラシなどの海氷に生息する動物を脅かす温室効果ガスに対して、大胆な対応を求めた。彼女は言った「これは気候崩壊だ、温室効果ガスによって海氷が解けている」と。

<コメント>
コメントは全部で15件でした。いくつか紹介します。一人は賛成のようですが、他の方々は懐疑的のように見えます。

「それなら彼らはハイイロアザラシたちを北海から連れてくるべきだよ。北海ではその数があまりにも増えて、イルカを食いあさり始めたんだ。」

「それが企業収益に悪影響を与えない限り、私は大賛成である。投資家が配当を理解しなければならないわけだから。」

「我々は、与えられた地理的地域における気候変動に基づく生命の多くの形に、同じロジックを使用することができた。そのロジックによれば、様々な生命の形態はそれらが以前から馴染みのある似たような気候を開拓し、その新しい場所へ移って行くので、危機に瀕するようなことはない。南極大陸には、極地性ではない動物や植物の化石が確かに存在している。地球温暖化、世界的な氷河期と絶滅は、周期的に起こる。生存に最適なものが続いていくのだ。」

「我々は野生動物を必要としていない。地球がこれ以上動物や植物を維持していくことができなくなったら、我々はタールサンドだって食うことができるんだぜ。過去200年に間に何千もの種が絶滅した。」

「“彼女は言った「これは気候崩壊だ、温室効果ガスによって海氷が解けている」と。”←こんなの戯言に過ぎない!」

「だったら、我々は子アザラシをやっつけて北極グマのエサとして与えるべきなじゃないの?(北極グマが滅びないよう十分にエサを与えたほうが良いという意味か?)」

<解説>
 今回のコメンターは個性が強い人が多いのか、皆難しいことを言っています。タールサンドっていうのは、地下から採掘される原油などを含む土壌のことですから、とても食べられるように思えませんが、どうなんでしょうか。
 地球温暖化を食い止める施策は必要とは思いますが、野生動物の減少は人類の活動に直接関係が無いので、そんなことは後回しにしてエネルギーや環境の心配をすべきだという考えは、ある意味現実的で正しいと思われます。しかし数年前から“生物多様性”も環境問題の中の重要な一つの課題としてクローズアップされるようになりました。やはり多くの種ができるだけ共存して絶滅することなく生息し続けることは、重要と思われます。