もうすぐ卒業シーズン

もうすぐ卒業シーズンである。
数年前、こんなことがあった。

「Congratulation to your marriage. へぇー。みんなの名前も英語で書いてあるわ。うれしーい。」最後の授業のあとで、その小さな色紙を受け取った先生の目はみるみる潤んでいった。

小学生の息子が通う子供向け英会話教室の先生がもうすぐ結婚退職されるという話を聞いたとき、私と妻は一計を案じた。長い間お世話になった先生への感謝とご結婚への祝福を込めて教え子たちで寄書きを(英語で)して、最後の授業の日に渡そうと提案したのだ。

遠方へ嫁いで行くために若くして職場を離れることになった先生は、本当はとても淋しいに違いない。他の親たちは乗り気ではなかったが、一部の子供たちがその気になってくれたおかげで話が進み、実現した。

真ん中に“Congratulation to your marriage.(ご結婚おめでとうございます)”と私が記し、回りには数人の子供たちがそれぞれ自分の名前をローマ字で書いた。もちろんこのことは当日まで先生には内緒にした。

「コミュニケーションにおいて大事なのは語学力だけではない。感謝や祝福などの気持ちを誠意をこめて相手に伝えること。それが通じて喜んでもらうことは自分たちにとってもうれしいこと。」と子供たちに伝えたかった。

そしてこの日のことをずっと忘れないで、大人になったときに国内外を問わず誰とでも良いコミュニケーションができる人になってほしいと願った。