月刊下水道6月号を読んで

私が定期的にチェックしている雑誌は、「月刊下水道」「用水と廃水」「月刊省エネルギー」「月刊廃棄物」の4誌である。

月刊下水道の6月号に、東日本大震災特集が掲載された。これまではニュースで断片的に被害の様子や大きさの情報を入手していたが、全体像がわからず、自分の中でも整理できていなかった。排水処理設備についての、まとまった震災情報は、これが初めてではないだろうか。

とにかくひどい。震災によって稼働停止に追い込まれた下水処理場が48個所。そのうち30個所は4月20日までに復旧したが、残る18個所はまだ稼働停止中とのことである。
それとは別に、被害状況が不明の下水処理場が11個所もある。これらはいずれも福島県であり、原発事故のため付近に立ち入ることができず、現地確認さえできないとのことである。

多くの識者による貴重な論文やコメントが掲載されている。適切な下水処理場の応急措置の方法、地盤液状化による管路やマンホールの浮上破損防止策や被害を受けた下水インフラの素早い復旧策、などなど。

「想定外」という言葉は、「ここまでやっておけば大丈夫」という思い込みの裏返しであり、素人ではなく技術者の間で定説になっている神話が元凶であると感じた。技術者は何があっても安心することなく「本当に大丈夫か」を常に問い続けることが大事である。もうこれで大丈夫と思った瞬間に安全性向上の進歩は止まる。

言うのは極めて簡単だが‥‥‥。

そんなことを感じた。