世界は環境問題をどう見ているか(30)

Clean diesels not so clean, apparently
クリーンディーゼル車はそれほどクリーンでもないようである

今回はディーゼル車の排気ガスの話題です。自動車の排気ガスにはNOx、Sox一酸化炭素粒子状物質などいろいろな有害物質が含まれています。もちろんそれを削減する取り組みは各車メーカーなどで進んでいますが、ここではその評価方法について、これまでとは違う視点から提案しています。出典は米国の人気自動車サイト“AutoBrog”です。

http://www.autoblog.com/2015/04/11/clean-diesel-not-clean/?ncid=txtlnkusaolp00000588

2015.4.11

<本文要約>
国際クリーン交通委員会(ICCT)により発表された研究結果によれば、少なくとも窒素酸化物(NOx)の排出については、メーカーが主張するほど最新型燃焼バーナーは、実場面ではクリーンではないようである。
今回は、従来の研究室型テストではなく、ポータブル放出測定システム(PEMS)を用いた。それを使えば、速度、加速度、様々な排出される化学物質や路面の傾きまでのデータが連続的に得られる。それによって、15タイプのディーゼル車(12台はヨーロッパ製で残りの3台は米国製)と3,977マイル(6,400km)の累積走行距離を精査した。
その結果、丘を登るような通常の運転で起こりうる状況にて、これらの車のNOxレベルは6台のヨーロッパ標準車より7倍近く高い値を示した。つまり、実際の路上運転の排出は、研究室での試験では十分に確かめられないという研究結果が示された。
ただディーゼルエンジンの最新の排出削減技術も悪くはない。NOxが規制値よりかなり高い状況でも、一酸化炭素や総炭化水素量はヨーロッパ車6台より下回った。
 EUでは、この研究と同じような実場面型の排出試験に切り替えようとしている。そして研究者らは自動車会社に厳しい警告を発した、すぐにでもNOx性能の良い車の開発に着手しろと。

<コメント紹介>

コメントは全部で106件でした。その中からいくつか選んで紹介します。

「中国、インドその他の急速に経済発展してきた国などの環境問題軽視の国家に対し、我々は何ができるのか? そいつらは我々の経済を行き詰らせるどころか、さらに大きな影響を与える。そう、我々西側国家も汚染を引き起こすが、我々は少なくともその汚染を削減しようという努力はしている。一方中国は我々を毒殺し、何の保証もしようとしていない。我々がきれいにしようと努力しても、それらの怠惰な国々のおかげで、水の泡になるんだ。」

「単純な話だよ。圧力が高くなればNOx排出量も増えるよ。ディーゼル車っていうのはガソリン車より圧縮比がずっと高いんだ。圧力が高くなると、空気中の窒素が燃焼工程に含まれてくる割合が増えるからね。理想的には水蒸気と二酸化炭素になればいいんだけど、燃料には不純物が混じっているし、空気だって酸素だけで出来ているわけではないからね。」

「皮肉なことに、NOxっていうのは地球温暖化を抑える働きがあるんだよね。そしてNOxは地球温暖化ガスのメタンを破壊する作用もあるんだ。(笑)」

「その写真はインドネシアで撮影されてものだろ。そこの排出基準はどうなっているのか、そしてそのバスは何年前に製造されたものか、よくわからないね。でも排ガス抑制の最新技術を装備しているようには見えないね。」

ディーゼル排気ガスの匂いほど嫌なものはありません。私の車がこれらのバスやトラックの後続になったときは、ヒーターやエアコンをすぐにOFFにします。その匂いは、吐き気がします。」

「米国のバスがヨーロッパのものに比べてどの程度の性能なのか知りたいね。ヨーロッパのバスに比べて米国のバスのディーゼルエンジンのNOx排出についての性能には大きな違いがあるんだよ。」

<解説、所感>
 排ガス成分のうち、ここではNOxに焦点を当てています。NOxとはいわゆる窒素酸化物のことで、のど、気管及び肺に対する障害を起こすだけでなく、紫外線の作用で炭化水素と反応すれば光化学スモッグを発生します。
 その計測方法をより実際の運転場面に近い条件にしたところ、このようにNOxについてはいかに最新型バーナーを用いても決して十分な削減が見られなかったということです。残念な気もしますが、こうして性能評価技術が進歩することは、これで一つ排ガスクリーン化に向けて前進することになります。これはこれで良いのではないでしょうか。
 それにしても、他の記事でもよく見られる傾向ですが、米国の方々は中国やインドなどの最近急成長している国々のことを大いに意識しているようです。それは最初のコメンターの言葉に表れています。これらの急成長国には、先進国の二の舞にならないよう環境対策には十分に力を注いでほしいところです。