世界は環境問題をどう見ているか(29)

Study links swarm of quakes in Texas to natural gas drilling
テキサス州群発地震天然ガス採掘が原因という研究成果が発表された

 今回は米国で増えている地震の話題です。米国は日本と違い地震のほとんど起こらない安定した国土を持っているはずですが、何故かある一部の地域で地震が増えてきたようです。発信元はYahoo米国です。

http://news.yahoo.com/study-links-swarm-quakes-texas-natural-gas-drilling-150044641.html

2015.4.21

<本文要約>
 科学者らはリアルタイムのモニターを使って、テキサス州フォートワース西部の群発の小地震がその近くの天然ガス井戸と排水注入に関連があると述べた。
 2013年11月から2014年1月の84日間にテキサス州アズレ地区の辺りで、マグネチュード2以上の地震が27回発生した、これは南メソジスト大学(SMU)と米国地質調査所(USGS)の科学者らがその揺れをモニタリングした期間のことである。この地域は150年揺れを観測したことは無く、その断層は1億年活動が少ないところであるとSMUの地質学者マチェウ・ホーンバック氏は述べた。
 その注入量が極端に減った頃、揺れが発生した。塩水がガス製造工程の井戸から抜き去り、地下へ排水を注入したのが地震群発の原因として最も可能性が高いと、ネーチャー・コミュニケーション誌において科学者らが結論付けている。
 一方で、SMUの地震学者らはダラス市郊外にて発生している地震の調査をまだ続けている。2月には、研究者らは暫定的な調査結果を発表したが、それにはアービング市からテキサス州西部にかけて拡がる狭い断層線が示されている。そして研究者らは廃棄物処分用井戸が、ダラス市フォートワース国際空港での地震活動の発生源であることを特定している。

<コメント紹介>
 コメントは2219件とかなり多いです。もともと地震の少ない国なのに急激に増えてきたことに対し、多くの方々が関心を持っているようです。そのうち6件紹介します。 

「地下にはたくさんの化学物質が埋められているんじゃないの。」

「石油会社は人を雇って、金を分配する。政府は銀行役で、結局何もしない。」

「この断層に高圧で水などを注入すれば、断層が緩んで蓄えられていたエネルギーが解放されるのは、間違いないだろうね。何年も調査し記録してれば判るよね。最も有名なのは、コロラド州で政府が核廃棄物を注入したことだよ。でもYahooよりジャーナリズムの方が信頼できそうだね。この話のカバーの写真には、家に明らかなダメージがあるけど、ここに書かれている程度の規模の地震によって生じるようなものじゃないだろ。これは他の場所のものかまたは老朽化によるものだよ。YahooのYの字はyellow(つまり扇情的な)という意味みたいだね。正確でない情報に惑わされないよう注意しなきゃ。」

「私はルイジアナ州に住んでいます。我々にはそんな見え透いた研究成果は要らない。このあたりも以前ずーっと地震なんて無かったのに、その会社がやって来て破砕行為を始めて、それでルイジアナ州テキサス州などに急に地震が頻発するようになったんです。それを推測するのに科学者なんて要りません。」

「銭が規則を作る、そしてこれらの会社はたくさんの資金を持っているし、政治家らもそれを知っている。環境や公衆安全ではなく石油会社に味方しようとする人たちに注意を向けるべきだね。そして彼らが唱える根拠にも注視すべきだね、だって彼らは真実でないことも言おうとするからね。ほとんどの政治家らは銭と選挙のことしか考えていないよ。それが全てさ。」

「これらの地域の方々には地震保険金を支払ってほしいわね。特に地球が長期間に渡って破砕されているということに対し我々が何のアイディアも浮かばないとうい事実から考えれば、その結果起こりうる大惨事のことを知ることは無理よね。だから保険金を支払うことを望むわ。」

<解説>
 最近米国で有望視されているエネルギー源として、シェールガスシェールオイルがあります。米国各地で盛んに採掘されているようですが、実はこれも地盤への影響が大きく、群発地震が発生しているようです。ここで話題になっている天然ガス採掘のための排水注入だけではありません。
 米国のような消費大国では、エネルギーがたくさん必要であることはよく理解できます。ただこうして地震が発生してしまうほどの地盤劣化は、さすがに近隣の住民の方々も容認できないでしょう。
 そしてさらに問題なのは、米国にどれほど地震に対応できる技術があるかということです。日本のような地震大国なら昔から地震対策の知恵が蓄積されているだけでなく、ほとんどの建物は多かれ少なかれ耐震性能を有しています。しかし米国はどうでしょう。それについての資料やデータを集めたわけでもないので確かなことは言えませんが、地震に関する防災技術は日本ほど進んでないと推察できます。よって、このような分野で日本の防災技術が米国にてお役に立てれば、日本の技術者としても誇らしいです。でもその前に、地震を誘発するほどの無理なエネルギー採掘は見直すべきでしょうね。