世界は環境問題をどう見ているか(54)

Trump to mayor of sinking island: Don't worry about sea level rise
トランプは水没している島の市長へ伝えた「海面上昇なんて心配ご無用ですよ」

 6月1日にトランプ大統領は気候変動におけるパリ協定を離脱すると宣言しましたが、これは世界中で大きな話題となっています。これほどの大国が温室効果ガス排出抑制に協力しなくなっては、世界の環境問題に対する悪影響は計り知れないです。でももう少し小規模な領域で、それも米国で、地球温暖化の問題が出ているようです。出典は米国Yahooです。

https://www.yahoo.com/news/trump-mayor-sinking-island-don-165913393.html

2017.6.15

<本文要約>
地球温暖化によって起こる海面上昇によって、米国バージニア州のチェサピーク湾にあるタンジール島はその存続を脅かされている。
この島の窮状を報じたCNNニュースによれば、トランプ大統領はその島の市長のエスクリッジ氏を安心させるため、この島はきっと今世紀中ごろまで海面上昇に持ちこたえると伝えた。多くの科学者らが温暖化による海面上昇を予測しているのにもかかわらずである。
それどころか、トランプ氏はエスクリッジ市長に、海面が上昇してもタンジール島の住人は何も恐れることはないと伝えた。そして「そして島は数百年もそこに存続したではないですか。そして私はこれからも数百年以上その島は存続すると信じていますよ。」と伝えた。
エスクリッジ氏は、「大統領と同じように、私も海面上昇を心配していない。」「私はいつも海面を見ないことにしている。」と語った。水没地域は今や島の主な居住地区へも拡大し、町は海中へ沈もうとしているが、この島の住人はほとんど大統領を支持している。先の選挙では住民の87%がトランプ氏へ投票したとのことである。
2015年の米国陸軍工兵機関の研究によれば、このまま海面が上昇すれば来世紀までにはタンジール島は水面下となるだろうとのことである。そして島には人が住んでいるが、今世紀の中ごろまでに他の場所へ避難する必要があるだろうと警告している。
6月1日にはトランプ大統領は、米国は気候変動におけるパリ協定を離脱すると宣言した。そしてトランプ政権は地球温暖化ガス放出を阻止するために定めた多くの法令を撤回している。

<コメント>
コメントは全部で270件でした。そのうち6つを紹介します。

「アホなこと言ってるんじゃない。すぐ行動せい。」

「私がこの市長なら、トランプにこの浜辺の土地を買ってホテルやゴルフ場を建設するよう要請してみるけどね。」

「トランプは陸軍工兵隊と環境再生プロジェクトの予算をカットしようとしているよ。困ったもんだね。」

「気候変動を我々が無視することは出来ても、気候変動は我々を脅かす。その市長は島が消えるよりずーっと前に市長の座を引退しているしね。」

「私は61年間フロリダの沿岸に住んでいるけど、海面は全く上昇していないよ。」

「トランプが持っている科学についての知識なんてわずかなものだ。広大な部屋の中のノミの卵みたいなもんだろ。」

<所感>
 大国の大統領がこんなこと言っていいのか、そして市長がこんな態度でいいのか、それが率直な感想ではないでしょうか。
 米国の大統領は(当時はオバマ氏でしたが)、気候変動におけるパリ協定にて「2005年比で2025年までに温室効果ガス排出量を26〜28%削減する(28%削減できるよう最大限努力する)」と約束しました。しかし現大統領のトランプ氏は、この地球温暖化なんてfake(虚偽つまり作り話)と語っています。トランプ大統領だけでなく共和党には地球温暖化には懐疑的な議員が多いようです。
 それにしても現実に島が危機に直面しているのです。百歩譲って地球温暖化が原因でないとしても、きちんと対策を講じて行動しなければいけないということは、あまりにも明白でしょう。
 そして米国がパリ協定を離脱した今、いかにして世界の温室効果ガス濃度上昇を抑えるかが大きな課題となりました。日本に出来ることは、まずは自国の目標である「2030年までに2013年比で26%削減する」を達成するということでしょう。