世界は環境問題をどう見ているか(41)

California’s First Offshore Wind Power Project Faces Environmental Headwinds
カリフォルニア州初の洋上風力発電プロジェクトは環境問題の逆風に直面している

今回は米国カリフォルニア州の海岸に建設された巨大な風力発電施設の話です。かなりスケールの大きな風力発電事業の話です。その大きさは写真のとおりですが、こんな大型船舶と比較してもかなり背が高いです。出典は、米国の映画制作会社パーティシパント・メディアのウェブサイトにあるTakepartというニュース発信サイトです。かなりの長文です。

http://www.takepart.com/article/2015/11/20/offshore-wind-california-first

2015.11.20

<本文要約>
無公害の再生エネルギー発電がカリフォルニア州の海岸に設置された、これは30万戸の家庭に向けて今後10年間電気を供給するものである。
洋上風力開発会社トライデント・ウィンドは100基の風力タービン(ケーブル方式で海底に繋ぎ留められている)を、モロ湾から15マイル(約24km)沖に据付けようとしている。それらが並んでいる一群の様子は、米国の他の洋上風力プロジェクトさえも小さく感じさせてしまうようである。
10月に、カリフォルニア州政府のジェリー・ブラウン氏は2030年までに州で使用する電力の半分を再生可能エネルギーによるものにすると強調している。この野心的な洋上風力や波力による発電などのクリーンエネルギーの目標は、州当局で審議中である。
近年、北カリフォルニア海岸での小さな洋上風力発電の一部は、様々な理由のために実現に失敗しているが、それは居住環境に影響を与えないような配慮をするための資金が不足しているためである。カリフォルニア州沿岸監理委員会のエネルギー・スペシャリストであるトム・ラスター氏が言うには、カリフォルニア州中央沿岸の洋上エネルギー研究施設についての提言は今進行中で、承認待ちと財政的支援の過程にある。

<コメント紹介>
 コメントは全部で49件でした。そのうち5件紹介します。

「主な問題は野生生物への影響だろ。海産物ではなくて鳥への影響だろ。風力タービンによって鳥たちが死ぬこともあるんだから。」

「無害であることは、もう証明されているようなもんだよ。風力発電が建っても、鳥類の数が減っているわけではないからね。いとも簡単にタービンの周りを飛び回っているよ。」

「個人的に思うのは、この風力タービンって構造的に美しいよね。そして環境への影響はないことも知っているよ。たとえそれが政府が作ったもので自分が税金を払っていたとしても、自分は喜んで税金を払うけど、それは道路や橋の維持と同じようなものだからね。同様に税金がタービンの維持に使われるに過ぎないよ。」

「それは夢のように素敵なプロジェクトね。絵になるわ。石炭火力発電所天然ガスプラントを建てても、格好よくないもんね。」

「我々は太陽光発電地熱発電とともにこの風力発電も熱望している‥‥‥でも遅いよ、なかなか実現しないね。すぐにでも我々は必要としているのにね。石油社会の支配やコントロールから逃れるのは、何て難しいんだ。」

<解説と所感>
いかがでしょうか。
この記事には、“100基の風力タービンにより30万戸の家庭へ電力を供給する”とありますが、出力については記載されていません。10kWで3戸の家の電力が賄えるとすると、出力は100万kWということになります。日本最大の風力発電施設といわれている三重県青山高原ウィンドファームが最大出力15万kWですから、その6倍以上です。たけとよメガソーラーは7,500kWですから、その133倍になるわけです。しかし世界最大級の石炭火力発電所である碧南火力発電所は410万kWなので、その4分の1ですが‥‥‥。
 洋上の風力発電は陸上と違い、土地の買収の必要がないことや住民への低騒音の被害を回避出来ることなどの特徴を持っています。しかしここに書かれているように、環境への影響がまだまだ十分に解決できていないようです。