もったいない

以前PTA会長をやっていたときの話である。ある懇親会で、会の終了時に、料理が多量に余った。どうするのかと思ったら、幹事さんが用意しておいた数十個もの小さなパックを参加者全員に配った。参加者らはほとんどが主婦だったせいか、皆よろこんで余った料理をパックに詰めて持ち帰った。夏季だったので食物が傷む恐れもないわけではないが、もちろん全て自己責任の行為である。

これも数年前の話だが‥‥。
会社のある部署の懇親会で、取り寄せた料理が多量に余った。参加者はほとんど男性社員であった。するとみんな余った料理をゴミ箱に捨て始めた。私が「えーっ。もったいないじゃないですか。みんなで何かの容器に入れて持ち帰りましょうよ。」と訴えた。すると、責任者らしき人が言うには「余った物を持ち帰って食べた人が腹痛にでもなったら、責任を問われる。だからダメ!」とのことであった。

 所属する組織が異なると考え方がこれほど違うという典型例である。会社の規則だか責任者のメンツだか知らないが、食料自給率40%弱の国がやることじゃない!「モッタイナイ活動」で有名なアフリカの環境活動家ワンガリ・マータイ女史が聞いたら、間違いなく激怒するだろう。組織体質の問題というより、性の違い、つまり女性上位組織と男性上位組織の違いのような気もする。まあ責任者の立場もわからないわけではないが。

 もったいないと感じても、実行するためには障害を越えなければならないこともある。組織の中で自分の考えを通すのは難しいことがあることは判っていたが、何かやりきれない気持ちになった。