世界は環境問題をどう見ているか(8)

今回は放射性物質の問題を取り上げている記事を紹介します。米国Yahooから検索していったら”Natural News(米国アリゾナ州トゥーソン市在住の科学者Mike Adams氏が運営するウェブサイト)”でこんな記事が見つかりました。福島第一原発の汚染水対策は、昨日(平成26年10月4日付け)の中日新聞の2面にも載っていました。日本でももちろん大問題になっていますが、海外での注目度もかなり高いようです。

http://www.naturalnews.com/046881_Fukushima_plant_radioactive_waste_Pacific_Ocean.html#


2014.9.15


Over 2 trillion becquerels of radioactive waste flowed from Fukushima plant into Pacific in just 10 months
2兆ベクレル以上の放射能汚染水が10ヶ月間に福島原発から太平洋へ流出していた。

<本文要約>
2013年8月から2014年5月に間に、少なくとも2兆ベクレルの放射性物質福島第一原発から太平洋へ流出したことを東京電力が認めた。 2011年3月福島のプラントは巨大な地震津波により多重メルトダウンを生じた。それ以来東電は放射能汚染水がプラントから流出しないように悪戦苦闘してきた。しかし最近、反応器建屋と下流から海への汚染水漏出が判明した。またプラントから地面へ流出し地下から海へ流出している疑いもある。
東電は反応器1〜4の取水口付近にて測定した結果、一日当たりこの水が48億ベクレルのストロンチウム90と20億ベクレルのセシウム137を流出したと試算している。これは8月から5月までの10ヶ月間に、1.46兆ベクレルのストロンチウム90と6,100億ベクレルのセシウム137を、合計で2.07兆ベクレルの放射線物質を海へ放流したことを意味する。
汚染水は湾に流れ込み、そこから外海へ広まっていく。この湾には原料や装置を運び込むための港がある。そこに多くの放射性物質が港の海底の泥中に蓄積されており、東電はこれらをセメントで覆い固めて漏出しないようにする計画を練っている。

<コメント紹介>
何と111件ものコメントがあります。本当に多種多様な意見があり、米国のスケールの広さを感じます。中には無責任な書き込みやピント外れの書き込みもあります。でも凡人ではなかなか思いつかないハッとさせるような書き込みもありますが、その道の専門家でしょうか。その一部を紹介します。もちろんかなり意訳してあります、直訳したら読めたもんじゃありません。
私が最近他国のウェブサイトの書き込みを読むことにハマっている理由は、こうした様々な考えの人たちの興味深いコメントがたくさんあるからです(特に米国Yahoo)。

原子力の意義は、アインシュタインも言っているようにタービンを回すのに十分な力を発生させることだよね。それは蒸気を発生させるのには大変すぐれた方法だ。」
「これは予想できるとおり地上は死の世界となる。誰がこれについて十分な対策が打てるのか。」
「自分は太平洋側でなく大西洋側海岸に住んでいて良かった。誰かが何とかするさ。」
「そして世界の他の地域はただ静寂を保っている。」
「じゃあマグロ缶詰の表面を鉛でコーティングしないとね。」
原子力発電は、とにかくいつもダメよ。将来“福島では行き詰っているこのダーティな対策が、実は壮絶な災害の最初の兆候だった”という時が来るわよ。気候や物質の大変化から逃れるために宇宙へ移住できるようにしておかないとね。」
「2兆ベクレルはがん治療に使うコバルト60の小さなケースの1/10の量なんだよね。昨年これがメキシコで行方不明になっているんだけど、知ってた? そして日本で立ち上がったばかりの石炭発電プラントによって放出された放射線に比べてずーっと少ないんだ。」
「実際これは恐怖へのストーリー展開だね。」
「我々はもう慣れ親しんだ生活を続けるのには電気は必要だが、生きていくためには電気は必ずしも不可欠ではないよ。(つまりもう原発などで発電しなくてもよいということか?)」
「いやそれは違うだろ。近代的な生活を送るには、冷凍列車や倉庫や保存設備がなかったら人々への食料の補給はできない。電気をカットされたら、米国人2億人が飢えて死ぬかもしれないよ。」
「核を用いた工業を続けることは、長い歴史上におい特に無責任な行為と言える。」
「海底を覆い固めたセメントから、放射性物質が漏れ続けるようなことは無いのか?
「でもそうすると、放射能を持つ水が固めたセメント塊の端部のどこかから漏れ出るんじゃないかな。やはり海洋の放射能汚染を防ぐことはできないのでは。」
放射能汚染水を少しずつ海洋へ放出することより優れた解決法はあるのかな?つまり毎日放射性物質を漏らすのはまずいけど、1世紀に一度や二度漏らしても誰にも危害を加えないのではないかな。」
「海底をセメントで覆い固めるって。そりゃいい方法だ。でもここで私は他の方法を思いついた。プラントの周りに巨大な氷の壁を造ったらどうだ。」

<解説>
放射線関連では聞き慣れない用語が多いですが、まずは単位のことから簡単に‥‥。
“ベクレル”とは、放射性物質放射線を出す能力を表わす単位です。1ベクレルは、1秒間に一つの原子核が壊れ、放射線を出すことを意味します。それに実効線量係数(核種や侵入経路などで決まる)などを掛けて放射線が人にどれだけ影響を与えるかを考慮した単位にしたのが“シーベルト”です。難しいですね。
 人類はこれまで多くの公害問題を解決してきました。しかし放射性物質は簡単には浄化できません。それはいかなる物理的または化学的変化を加えても放射性元素放射能は基本的には変化せず、極めて長期間に渡って有害な放射線を出し続けるものが多いからです。ですから本文または何人かのコメンターが言っている通り、セメントや鉛などで堅固に封じ込めるしかないです。または別のコメンターの言うとおり、宇宙まで逃げるか、←でもそれはあり得ないでしょう。
 まだ結論は出ていませんが、東電のやろうとしていることは間違いではないでしょうね。見守って行きたいです。