世界は環境問題をどう見ているか(9)

今回は中国の大気汚染の問題と政府が進めている対応策を紹介します。ソースは米国インターネット新聞社の“ハフィントン・ポスト”です。日本ではPM2.5が良く知られており、実際その粒子が日本で観測され生活に影響を与えることもあるようです。
http://www.huffingtonpost.com/feng-zhaokui/china-climate-change-fight_b_5798234.html?ncid=txtlnkusaolp00000592

2014.9.10

What China Is Doing to Clear the Air and Fight Climate Change
大気の浄化や気候変動対策として中国はどんな取組みをしているか

<本文要約>
日経に掲載された記事であるが、私はこれを読んでショックを受け仰天した。“環境汚染の渦中へ滅亡していく国、中国”である。中国の環境汚染は深刻な問題である。中国は今や世界第二位の経済大国で軍事力も強化されたが、いくつかの深刻な問題を抱えており、その最重要課題が環境汚染である。たとえ経済大国であっても環境弱小国となってしまえば、この環境問題により中国は崩壊するであろう。世界銀行の試算によれば、環境汚染による中国の経済損失は、国の全GDPの10%程度に及ぶ。
中国政府はこの問題を重要課題として取り上げ、大気汚染の改善、特にスモッグの解消に向けたアクションプランを導入した。これは特に大気が霞んでいる大都市を重点的に行うもので、エネルギー需要の構造、排ガスや粉じんの放出を課題として取り上げている。
中国の環境問題はこの国だけの問題ではなく、国際的な問題でもある。そして中国は環境保全に関するいくつかの国際条約にも調印し加わっている。中国政府はまた省エネや公害防止対策だけでなくその産業育成にも力を入れている。中国の政府や人々は、環境を守るための努力を惜しまず、国家を弱体化するような環境問題を回避しようとしている。

<コメント紹介>
コメントをいくつか紹介します。もちろんかなり意訳してあります。コメンターの中にはかなり高度な知識をお持ちの方もいらっしゃいますが、大学や研究機関の関係者でしょうか。
でも読んでいて感じるのは、日本人より穏やかな見方をしていらっしゃる方が多いということです。“対岸の火事”と言う言葉がありますが、日本と違い米国は中国から遠く離れているため危機感が少ないということかもしれません。

二酸化炭素の濃度は1750年の頃より40%増えてるんだけど、これは石炭、石油そしてガスのようなダーティなエネルギーからの汚染が原因なんだよね。そして地球温暖化が起こるんだよ。」

「中国政府らは、確かに彼ら自信が取組まなければならない課題を抱えている。しかし中国政界のリーダーは共和党員ように気候変動説を否定するようなことまではしないので、清々しく潔いと感じる。」

「国家を弱体化するような環境問題を回避しようとしている‥‥そして世界、地球も。これは中国が世界の良きリーダーとしての役割を果たす理想的でしかも唯一のチャンスだ。美しい緑の地球を維持するための最後のチャンスと信じる。中国がこの難題に立ち向かってくことを期待しよう。」

「これで中国はもう一歩さらに前進する。共和党員たちは環境保全に対抗する大手の石油業者によって買収されたみたいだね。中国ではトリウム反応器(原発の一種か?)技術開発が進められているが、これだって我々米国が最初に開発したもので、共和党員(Richard Nixon)がつぶしたんだよ。」

天然ガスの埋蔵量予測が世界の多くの場所で下方修正されたけど、中国もそうなのかな。そして“クリーンな石炭“も興味深い。でもそれは情けないほど過少で、豊富な資源というわけにはいかないだろうね。世界には中国を悪く言う人も居るようだけど、中国は今や強大な国家にまで成長したので、多くの先進国から妬まれているんだろうね。」

<解説>
PM2.5は日本でもかなり知られるようになり、実際にそれが偏西風に乗って日本まで飛来して影響が出る恐れもあります。大きさは2.5μm(0.0025mm)以下で身の回りの埃や粉じんよりかなり小さいため肺の奥深くにまで入り込みやすく、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などのリスクを上昇させると考えられます。
よく知られているように、最近の中国の経済成長は目覚ましいです。しかし40年前の日本を思い起こせば容易に想像できますが、経済最優先で環境問題を置き去りにすると強烈なしっぺ返しを受けます。その会社自体の直接的な損失は少ないように見えますが、周辺住民へ与える問題はあまりにも大きく、深刻な社会問題に発展します。
40年ほど前から開発してきた公害防止技術により、日本の環境保全技術力は周辺諸国を大きく上回っているようです。大いに貢献したいと考えております。