世界は環境問題をどう見ているか(3)

今回は調査捕鯨にまつわる話です。どこが環境問題なのかって? 限りある水産資源を守るということなのですが、日本人にはあまりピンとこないでしょう。海外とくに欧米では、鯨の乱獲を抑えることは極めて重要視されているようで。
発信元は米国Yahooです。

http://news.yahoo.com/japan-wraps-pacific-whale-hunt-115635000.html

2014.7.28
「Japan wraps up Pacific whale hunt—JapanToday」
「日本、太平洋での捕鯨を終える(ひとまず区切りをつけたということで、完了したということではないようです)」


<本文要約>
日本が発表したのは、太平洋で行っていた捕鯨を終えるということです。これは国連の最高裁判所が日本に対して南氷洋での殺戮の停止命令を発令してから2度目となります。某国の漁業局によると、捕鯨船団が母港に戻ってから、2ヶ月半の間に115頭の鯨が殺されたとのことです。日本の捕鯨団と活動家との間で過激なやり取りは、公海上でも日常茶飯事となっています。
日本は1986年の地球モラトリアム(一時停止)の抜け道の下で捕鯨をしてきておりますが、これによる哺乳動物の殺傷調査は認められています、しかし、その肉がレストランや食肉市場売られるという事実は、皆に知れ渡っています。
日本政府は、2014年から15年のシーズン中は、南氷洋での捕獲は中止するとしました、そして、再度議論のある捕鯨作業をより学術的なものにするため再計画をするとしました。

<コメント紹介>
今回はコメントをたくさん紹介します。かなり意訳してあります。

今回はコメント数395件と多く、ほとんどが捕鯨に(中には過激に)批判的なものでした。

「いままでにどれだけ多くの鯨を“調査捕鯨”という名のもとに殺して来たんだ。そしてさらにどれだけの調査が必要なんだ!もう必要なデータは全て取ったんだろ!」

「調査捕鯨を実際に行っている我が国の幾つかのグループでは、その鯨にタグを取り付けて追跡調査をしている。検死解剖するのは死んだ鯨を見つけたときだけだ。何故か?それは健全な鯨の生態学的なデータは、もう既に全て入手しているからだ。」

「調査すべきことが残っているとしたら、ライフスタイル、社会性、移住性くらいであり、これらは生きた生体を調査しなければ解明できないだろう。」

「それらの調査は1から10まで全ての鯨とマークについて味を見るということか。」

「恐らく社会学的な研究なんだろう。彼らは反論するだろう、鯨を食べること彼らの文化に不可欠だと。昨夜のNHKニュースでその反論が報道されていた。これは日本人の間で人気の食物であるうなぎの数も減少していることと関連性があるだろう。」

「これは、どの鯨がいちばん美味しいかという調査なんじゃねーか?」

「調査はほとんど終わったが、何故か東京では鯨肉がパッケージに入って(食用として)売られているぞ。」

「こいつらは何年も何年も“調査”して実際のところ何を学んだんだ。本物の野蛮人だ。」

「世界の海の平和を荒らしまくる無法者たちに対し、なぜ制裁を加えないんだ。科学的調査なんて真っ赤な嘘だ、そんなことは世界中の科学者らは知っている、無法な狩りでどれだけのことを学んでいる。国会よ、そしてオバマ大統領よ、世界の資源のために立ち上がり、これらの種が我が惑星にていつまでも生息できるよう守りたまえ。やつらの捕鯨は世界を愚弄しているし、海の破壊よりも新しいタンパク源確保をすべきだと思い込んでいる。」

「鯨を殺すことも一部許されるような国際的執行猶予条約(地球モラトリアム)が1986年に発効されており、その網目をくぐるようにして日本は捕鯨を続けてきた。その網目は過去28年間で何度か塞がれてきた。何故このようないい加減なことを続けるんだ。学術会議によれば、ごく限られた数だけ捕鯨が許されていたのではなかったのか。学術的に理にかなった捕鯨に限っては、毎年許可されていたのだ。世界中に分布している種についてのこれらの許可は、経済的には実現不可能な商業捕獲なのだ。鯨を殺すことによる調査が必要なら、学術的に認可された調整のもとに実施すべきだし、鯨をもっと守るべきだ。」

「やい!何が“調査”だ。奴らは本当に愚か者だ、そして倫理観に欠けているし、ほとんど学習しない。鯨は希少で格好よくて利口な動物だ、それを“調査“の名のもとに殺すなんて、しかもいつまでも続けるなんて何ということだ。何故いつまでも捕獲し続けるんだ。シーシェパード環境団体はどこへ行ったんだ、多額の寄付をもらったくせに、千頭ほどの鯨を守ってきただけじゃねーか。日本人どもは核のゴミを世界の海や大気へ撒き散らすという自分勝手な行為をして、何が”調査“だ。‥‥」


捕鯨を擁護するコメントもないわけではありません。一つ紹介します。

「仏教の教えによれば、一人だけでが多くの獲物を得るよりも、一つの獲物を大勢に分け与える方が良いとされている。だから仏教系の学校の多くは鯨肉を食べることを勧めている。(逆にエビを食べることは勧められない)」

<所感>
 それにしても、日本人でこれだけのコメントを読んで気分を害することのない方はほとんど居ないでしょう。
 捕鯨は、日本人が古くから育んできた重要な食文化であり、日本人の貴重なタンパク源の一部だったわけです。何も他国から干渉されることではないはずです。牛肉、豚肉、鶏肉を食べるのは許されて鯨肉が許せないということに対し、合理的な理由は見当たりません。
 でも欧米人にとっては、捕鯨は許せないようです。最後のコメンターが書いている“シーシェパード環境団体”とは、日本の捕鯨船の活動をあらゆる手口で妨害することで有名です。こんな団体が欧米では多くの支持を得ているのです。
 捕鯨問題については、日本と欧米の間で全く考えが異なるため、どうしても歩み寄れないようです。